おすすめ度:(4.5)
対象者:実務でマーケティングを担当している人、売上に伸び悩む経営者
こんにちは、毎週読書週間を目指すアラサー女子のウォンバット(@akikoo1)です。
ファンベースは、あなたが思っているより、たぶん、ずっと重要だ
こんな文章で幕開けをするファンベースは、マーケティングの広告だけに頼らない新しい考え方を教えてくれます。288ページあるので読了までには時間がかかりますが、読んでよかったと思える本でした!
本書の概念を少しだけ説明すると…
経済学を勉強するとよく耳にする「20:80の法則(パレードの法則)」をご存知でしょうか?「全顧客の上位20%が売上の80%を生み出している」という使われ方をしています。
著者はこれを大体正しいと述べ、「少数の顧客が売上の大半を支えている」ので、「少数の顧客=ファン」を大切にしていきましょうとしています。
本記事ではファンベースが必要になった理由から、ファンベースのファンの支持を集める方法をまとめてみました。
『ファンベース – 支持され、愛され、長く売れ続けるために』で伝えたかったことは?
本書ではファンベースをこのように定義しています。
ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして(ベースには、土台、支持母体などの意味がある)、中長期的に売上や価値を上げていく考え方だ。
「ファンベース はじめに」より
本書はファンベースの概念を伝え、どのようにしてファンを形成するのかについて触れています。
私が思う、著者がファンベースで伝えたかったことは「つながり」を大切にすることだと思います。
広告の効果が頭打ちのなかで、中期的に売上をあげていくのは企業やブランドの価値を支持しているファンを増やし、そのファンが友人に薦めるという循環を作ること。
そのためには「企業と個人のつながり」「個人と個人のつながり」を重視していく必要があると感じました。
目次
はじめに ファンベースは、あなたが思っているより、たぶん、ずっと重要だ
第1章 キャンペーンや単発施策を、一過性で終わらせないために
第2章 ファンベースが必然な3つの理由
第3章 ファンの支持を強くする3つのアプローチ―共感・愛着・信頼
第4章 ファンの支持をより強くする3つのアップグレード―熱狂・無二・応援
第5章 ファンベースを中心とした「全体構築」の3つのパターン
第6章 ファンベースを楽しむ(もしくは実行の際のポイントの整理)
著者:佐藤 尚之さんについて
元電通出身でCMのプランナーを経て、独立。現在は、株式会社ツナグ代表でコミュニケーション・ディレクターという肩書で活動されています。
今回の『ファンベース』以外にも、発売から10年以上経っているにも関わらず評価が高く、消費者に届くコミュニケーションの方法を伝えている『明日の広告』という本も執筆されています。
ファンベースを必要とする3つの理由
(1)ファンは売上の大半を支え、伸ばしてくれるから
(2)時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから
(3)ファンが新たなファンを作ってくれるから
本書ではファンベースを必要とする理由を3つ述べ、企業の事例をいくつも紹介しています。(1)ファンが売上の大半を支えてくれている、という事例は「カゴメトマトジュース」でした。
「上位2.5%のコアファンが全売上の30~40%を占めている」というのです。確かに毎日飲むジュースなのでリピーターが多いのも頷けますが、思っていたよりも大きな数値に驚きました。
次にファンベースが必要となった理由に時代背景の変化を述べています。高齢社会で人口が減っている状態が続いているにもかかわらず、モノが溢れかえっている市場にいるため、情報が顧客に届かない、という状態があるからと述べています。
情報が顧客に届かないという事実を説明するために、本書ではある洗剤メーカーの事例が取り上げられていました。
「バズって話題になったけど、それだけで、何も変わらなかったんです」
この一言が印象的でした。マーケティングを行っている身としては、話題として取り上げてもらうということは認知度拡大のために重要な施策です。
せっかく話題に取り上げてもらったのに、数日後には忘れられ、売上にも貢献しないとなると、別の方法(=ファンベース)での売上拡大が必要だ、という話も理解できます。
ファンの支持を強くする3つのアプローチ
本書では短期・単発施策で流入した顧客をファンに育て、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上げていくには3つのアプローチがあると伝えています。
ファンの支持を強くするための3か条
・その価値自体をアップさせること→「共感」を強くする
・その価値を他に代えがたいものにすること→「愛着」を強くする
・その価値の提供元の評価・評判をアップさせること→「信頼」を強くする
それぞれのアプローチの具体的方策をみていきます。
共感を強くする
・ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
・ファンであることに自信を持ってもらう
・ファンを喜ばせる。新規顧客より優先する愛着を強くする
商品にストーリーやドラマを纏わせる
ファンとの接点を大切にし、改善する
ファンが参加できる場を増やし、活気づける信頼を強くする
それは誠実なやり方か、自分に問いかける
本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
社員の信頼を大切にし「最強のファン」にする
ファンベースを読んで印象に残ったこと
本書を読んで私が印象に残ったの2つです。
(1)顧客が友人に薦めるための自信を持つことが大切
(2)コアファンを身内として扱う
(1)顧客が友人に薦めるための自信を持つことが大切
顧客に「自信をもってこの製品がいい!と思わせる場所を提供する」という概念でした。
ここでの事例は「レタスクラブ」の雑誌でした。顧客はこの商品褒めていいのかどうか、友人に薦めていいのか自信がないという状態があるというのです。
自社サイトやメディアを利用して共感しやすい環境を作るというのを取り入れる必要性を学びました。
(2)コアファンを身内として扱う
コアファンの定義として、著者は全体の4%(20%のファンの20%)としている。
「コアファンとはお客様というより、大切にする価値を共有い喜び合う仲間であり、もっと言えば身内とも言える人」という位置づけにし、「必要以上にへりくだらない」、「対等」な関係を持つべきとしている。
コアファンをゲスト扱いをせずに、適切な距離感を保つというのは難しいけど本質だと思いました。
図解:ファンベースをマーケ施策に落とし込むときの考え方

自分が思うマーケティング施策に落とし込む際のファンベースのアプローチを考えてみました。
本書で言いたかったコトとしては、①のファンを大切にする施策を考えがちですが、その両輪としては②のファンの数を増やしていくということが大切なのだと思いました。
本記事がファンベースを導入のマーケティング担当者の一助になれば幸いです!