おすすめ度:(3)
対象者:ウェブ系のスタートアップに興味がある人
こんにちは、毎週読書週間を目指すアラサー女子のウォンバット(@akikoo1)です。
元LINE代表取締役の森川亮さんが執筆された「シンプルに考える」を読みました。読了後の感想としては「疑念」と「驚き」という感情を持っています。
このような感情を持っているのは、本書に書かれているアイデアがイノベーティブ(革新的)であったことがあげられます。
LINEというグローバルベンチャーを作り上げた軌跡がこの一冊に凝縮されています。ウェブ業界でベンチャー企業に勤める方に読んでほしい一冊です。
「シンプルに考える」で伝えたかったこととは?
本書で森川さんが伝えたかったことはタイトル通りなのですが「シンプルに考える」ということだと思います。
私なりの解釈は「考え抜いて本質を見つけ出し、そこにリソースを注ぎ込むこと」です。
結局、人間が一度にできることはひとつだけ。
結果を出すためには、ひとつのことに全力を集中させなければなりません。
だから、悩んでいてはダメだと思うのです。
大切なのは「考える」こと。
人が悩むのは「表面的な価値」に惑わされているからです。
だから、「何が本質か?」を考え尽くさなければなりません。
そして、最も大切なことを探り当てて、それ以外のものは捨て去る。
シンプルに考えなければ、人は何も成し遂げることができないのではないでしょうか?
また本書では繰り返し出てくる「ユーザーのニーズに応える」というのはシンプルに考えるためのキーワードになっています。
「森川 亮」さんとは?
森川 亮(もりかわ あきら)さん
1967年神奈川県生まれ。1989年に筑波大学を卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、ネットや衛星放送等の新規事業立ち上げに携わる。2000年、ソニー株式会社に入社。2003年にハンゲームジャパン(後にNHN JAPAN株式会社、現LINE株式会社)に入社し、2007年に代表取役社長に就任。2015年3月、同社代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月に動画メディアを運営するC Channel株式会社を設立。
この本で印象に残ったこと
「疑念」と「驚き」を持った理由とは?
本書を読んだ私の感想として疑念と驚きを持っているという話をしました。その理由を書いていきます。
- 経営理念はいらない
- ビジョンはいらない
- 計画はいらない
- 仕組みでは成功できない
- ルールはいらない
- 情報共有はしない
この文章を見た時に、私は今までの自分の常識が打ち砕かれたかのような気持ちになりました。私はルールや規範を大事にするタイプなので、それがなくて会社がどうなるのか?という感想です。
ここから私が体験したビジョン変更の話をします。これを踏まえると、私は森川さんの言う通り、シンプルに考えた方が目の前のビジネスに集中できていいと考えました。
私が以前、働いているスタートアップ企業では「ビジョン」を大切にしていました。同時に私は社長がワンマンで決めたビジョンには何の魅力もないことも知っていました。
勤務後1年を過ぎた当たりに会社のビジョンを作り直すということに出会いました。その理由は、ビジョンが代表が実現しようとしていたことに即していないという話が上がったためです。
ビジョンの作成には、1ヶ月インターン生2名がつきっきりでリサーチ、代表もディスカッションを進めていきました。リサーチ1ヶ月、ディスカッションが5ヶ月程度進められ、ビジョンが改定されたのは実質半年後でした。
そのビジョンには「ハッピー」という言葉が含まれているのですが、現状は富裕層相手のビジネスであったため、誰も顧客に説明していないという形骸化が進んでいるというのが後々になってわかりました。
この時に感じたのは、このリサーチやディスカッションに費やした時間が一体何だったのか、ということです。その時間を他のことに回すことができたと今でも思っています。
先程の常識を覆す経営手法にたどり着いたのは理由があるようです。私なりにまとめてみました。
- 経営理念はいらない→形骸化することが怖いから
- ビジョンはいらない→未来を見通すより今に集中するため
- 計画はいらない→変化するから
- 仕組みでは成功できない→クリエイティブな商品が生まれないから
- ルールはいらない→非効率的なものを排除するため
- 情報共有はしない→情報を見れるように整理すればいいから
会社にとっていちばん大切なことは何か?
皆さんの会社にとっていちばん大切なことは何でしょうか?私は「利益の拡大」だと思っていました。利益が上がれば会社としての存在意義は大きくなるのでは?という考えに基づいています。
そして、利益の拡大のためには、お客様(ユーザー)のためにならないといけないとも思っていました。このような考え方もありますが、本書を読み進めるにつれてヒット商品を作り続けることに魅力を感じました。
本書で森川さんが定義付ける会社にとっていちばん大切なこととは、「ヒット商品を作り続けること」です。
既存事業だけだとシュリンクしやすいために、ヒット商品をつくり出すことで拡大を目的としているという理解です。また森川さんは冒頭でご自身の考えを分解され、会社が集中してやるべきことをまとめられました。
ヒット商品を作り続けること
↓
ユーザーが本当に求めているものを提供し続けること
↓
ユーザーのニーズに応えられる社員を集める
↓
社員が能力を最大限に発揮できる環境をつくり出す
経営者視点で考えると社員が能力を発揮できる環境をつくり出すために資金調達や採用を重視することが考えられます。また雇用者視点で考えると、自分の頭で「ユーザーのニーズ」を見つけ出す必要があります。
ユーザーのことを考えるとは?
「ユーザーのことを考える」というのは、一体どういうことなのでしょうか?本書を読んだ後であっても、腑に落ちない気持ちとなりました。
ユーザーの声を聞くだけでは「道」を間違えます。
大事なのは、ユーザーの声を深く掘り下げて、「ユーザーが本当に求めているものは何か?」を自分の頭で考え抜くこと。
それが、イノベーションを起こす方法だと思うのです。
ユーザー目線で考えると起こってしまうこととしては
・安価な商品を求めるユーザーに対して利益度外視で値下げを行う
・機能を付けすぎて開発の納期が遅れる
…などが挙げられます。だからユーザー目線で考えるときには、全てユーザーの意見を鵜呑みにしてはならないということは言われています。
本書では一貫して「ユーザーのためになることを行う」と書かれています。しかし、そのユーザーのためになることを見つける方法の答えは「自分で考えること」だとしています。
これでは、「自分で下した判断が本当に合っているかわからない」「どれくらいの考える時間を有するべきなのかわからない」という感情がわいてきます。これについては疑問は払拭できませんでしたが、まずは「自分で考えること」から始めていきたいと思いました。